FXを始めたばかりの頃、僕は「スキャルピングってかっこいいな」と思っていました。チャートに張り付き、数秒〜数分単位でトレードを重ねて利益を積み上げていく…。まるで職人のような世界に、憧れを抱いたのを覚えています。
しかも、スキャルピングに関する情報は本やネット上にもたくさんあります。「1分足のパターン」「5分足での反転サイン」「秒で取れる手法」…と、いかにも“簡単そう”な印象を受けやすいんですよね。実際僕がFXを勉強した最初の本は、ボブ・ボルマン著「FXスキャルピング」という本で、これはなんとTickチャート(Tickというのは値動きの最小刻み値)を利用したトレード手法です。このトレード手法に夢を見て、億トレーダーになる気満々でした。ですが、実際にやってみて感じたのは、「これ、想像以上にしんどいな…」という現実でした。
スキャルピングは本当に難しい
一見とっつきやすそうに見えるスキャルピングですが、実はめちゃくちゃ難しいです。というのも、短い時間足の中で勝負するには、とにかく瞬間的な判断力が求められます。
たとえば、
- いまのエントリーがトレンドに逆らってないか?
- スプレッドを考慮しても優位性があるか?
- 損切りの位置は明確か?
- 今の通貨ペア、時間帯特有の“クセ”を把握してるか?
などなど、考えなきゃいけないことがとにかく多いんです。しかもそれを、1分足や5分足の中で即座に判断しなければならない。これ、やってみると本当に大変です。
実際、スキャルピングで継続的に勝てる人と、全く歯が立たない人の差はハッキリしています。その違いは、手法だけでなく「資金管理」「精神の安定」「反射的な判断力」「徹底したルール遵守」など、多岐にわたります。
僕も最初はスキャルピングで結果を出そうと試みましたが、正直、自分には荷が重かった。チャートにずっと張り付いていないと不安だし、ロットを上げたときのストレスは想像以上でした。1秒ごとに心拍数が上がる感覚、経験した方ならわかると思います。
デイトレードはメリハリが効く
一方で、僕がしっくりきたのは「デイトレード」でした。とくに、1時間足をベースにした確定足を待つスタイル。これは、チャートを見続ける必要がなく、一定の時間ごとに「今どうなってるかな?」と確認するだけでも成り立ちます。
具体的には、1時間足でフラグ(エントリーする優位性が出現した時)が成立しそうなとき、その足が確定するのを待ちつつ、15分足を併用してタイミングを取る。こうした「大きな流れを見て、小さな波で入る」スタイルは、兼業トレーダーにとって非常に相性がいいです。
なぜなら、日中は仕事でチャートをずっと見られない。朝や夜の限られた時間の中で分析とトレードをしないといけない。そんな環境でも、デイトレードならメリハリをもって対応できるからです。
時間足が長くなるほど「素直に動く」
これは僕自身が実感していることですが、時間足が長くなればなるほど、テクニカルが“素直に”効いてくる場面が増えます。
たとえば、1分足で引いたトレンドラインはすぐにブレイクされることが多いですが、4時間足や日足で引いたラインは、しばらく意識されやすい。移動平均線やサポート・レジスタンスも、長い時間足のほうが「意識されている感」が強くなります。
スキャルピングだと暴力的にも思える「経済指標」でさえ、4時間足だとテクニカルで説明がつくことがほとんど。
これは、長期足を見る人(機関投資家や中長期トレーダー)が多いためだと考えています。短期足はノイズも多く、騙しも頻発します。だからこそ、長い時間軸をベースにして、その流れに乗る形で短い時間軸を活用するのが、結果的に安定しやすいと感じています。
スキャルとデイトレ、結局どっちがいいの?
これはよく聞かれる質問ですし、僕自身も何度も自問しました。でも、結論は「人による」としか言えません。とはいえ、ひとつだけ言えるのは、
「スキャルピング=誰でも簡単にできる」
というイメージは、かなり危険です。
逆に、デイトレードの方が「構造的に楽」だと感じる人は多いはずです。特に、以下のような人にはデイトレの方が向いているかもしれません:
- 兼業でチャートを常時監視できない
- 精神的な負荷をなるべく減らしたい
- テクニカル分析をじっくり検証したい
- 損切りや利確をあらかじめ設定しておきたい
一方で、スキャルピングに向いている人は、
- 瞬間的な判断が得意
- チャートに張り付ける時間がある
- ルール通りの負けを許容できる
- 小さな利幅でもコツコツ積み重ねるのが苦じゃない
といったタイプでしょう。
まとめ
FXには「これが正解」というスタイルはありません。大事なのは、自分の性格・環境・資金量に合った手法を選ぶこと。
僕自身は、スキャルピングに憧れてスタートしたものの、結果として「デイトレード」が自分にとって最適だと感じました。今は1時間足ベースでのシンプルなルールを軸に、無理なく、そしてストレスなくトレードを続けられています。
もし、これを読んでいるあなたが「自分に合うスタイルが見つからない」と感じているなら、無理に“かっこよさ”や“情報の多さ”に振り回されず、自分のペースで探していけばいいと思います。
スキャルでも、デイトレでも、大事なのは「継続できるスタイル」を見つけること。そうすれば、少しずつでも結果はついてきます。僕もまだまだ模索中ですが、一緒に頑張っていきましょう。